1. 地震と建物の強さ(耐震性)について
法律での耐震性に関する考え方は、概ね震度5程度の中地震では建物の構造的に主要な部分には損傷が生じない事とし、概ね震度6〜7程度の大地震で建物が倒壊・破損しないこととされています。ここで「概ね・・・程度」という大雑把な表現になった理由は、震度やマグニチュード、加速度などの評価指標と実際に建物に掛かる力とが直接的にリンクしない事が明らかになっている為です。
大地震と建築基準法の関係
2.中地震と大地震について
地震が二段階に分けられたのは、その地方の頻度に理由があります。建物が建っている間に幾度か発生する中地震によって補修が必要なほど被害が生じると大変であるから損傷を生じないようにとの考え方です。逆に頻度が少ない大地震では、建っている間に起きないかもしれない地震に対してのコストとのバランスを考え、損傷しても倒壊で人が下敷きにならない程度の耐震性にしようとの考え方です。
3.大地震での現行耐震基準の評価
たくさんの建物が倒壊した阪神大震災では、震源地付近では殆どの建物が倒壊したかの様な錯覚を受けてしまいますが、後の調査で現行耐震基準の建物は比較的被害が少ないことが明らかになった為、現行基準は概ね妥当と考えられています。実際に倒壊した建物の多くは耐震基準の古いものであったり、現行の耐震基準であっても設計や施工になんらかの問題が有った事がわかっています。